故意や明白なミスでなく通常の医療行為で医師が逮捕、起訴された事件は医療界の猛反発を招き、全国的な産科医不足に拍車を掛けたとされる。現場の実態や医師の裁量を重視した判決は、医療過誤をめぐる刑事責任追及の在り方や医療界にも影響を与えそうだ。
公判では、子宮に胎盤が癒着した極めて珍しい症例に対し、胎盤をはがす「はく離」を被告が続けた判断の是非が最大の争点となった。
検察側は医学書の記述を根拠に「直ちに子宮摘出に移行すべきだった」と主張したが、鈴木裁判長は「医療現場でほとんどの医師が従う程度の一般性がなければ刑罰を科す基準とはならない」と判断。
「現場と食い違う医学書の基準を適用すれば医師が治療法を選べなくなる」と指摘した。
さらに「手術中に癒着胎盤を認識した時点で、大量出血の恐れを予見できた」と予見可能性は認めた上で「はく離すれば血管の収縮で止血が期待できる」と妥当性を認めた。
癒着の程度や位置関係をめぐる検察側の鑑定結果について判決は「疑問がある」と信用性を否定。
「医学書や鑑定内容を根拠づける症例をなんら立証しなかった」と検察側を批判した。
加藤被告は「異状死」なのに24時間以内に警察に届けなかったとして医師法違反罪にも問われたが、判決は「死亡は避けられない結果で報告義務はない」とした。
判決によると、加藤被告は04年12月17日、女性の帝王切開手術を執刀。クーパー(手術用はさみ)で癒着した胎盤をはがし、女性は大量出血によるショックで失血死した。
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この裁判は、我々医療者対して、さまざまな課題を突きつけたような気がします。
判決の無罪は、妥当なものだと思いますが、判決よりも、ご遺族が何を求めていたのかを、もっと考えるべきではないかと思います。
もちろん、人間の弱い部分も含めて。
そして、それをこれからの医療に生かすべきだと思います。
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